2012年6月12日火曜日

今、シリアで起こっていること

昨年より続くシリアにおける一連の武力衝突騒動,メディアはこぞってシリア政府(ないしアサド大統領)の批判ばかりを繰り返しますが、実態はどのようになっているのでしょうか?調べてみると色々面白いことが分かったので今日はそれをお伝えしたいと思います。(殆ど文字ばっかりの味気のない記事ですが、読んでもらえると嬉しいです^^)

まずシリアという国がどこにあるか確認しましょう。皆さん地図帳の25ページを開いて下さい。何!?ロッカーに置いてあるだと?ちょっとロッカーにある人挙手!そんなに居るのか...。じゃあ今すぐ取ってきなさい。はいそこ喋らない、地図帳取りに行くのに私語は要りません!(←なんだその地理の時間あるあるはw)

トルコの北隣で東側にはイラク、そして南隣にヨルダンとイスラエルがあり、また地中海側ではレバノンとも国境線を交えている国、それがシリアです。海を挟んでキプロスとも隣接しており、ヨーロッパ世界からも程近い位置にあることが伺えます。大統領であるアサド氏の顔を思い出してもらったらわかると思うのですが、住民にはアラブ系というよりはむしろ白人に近いような外見の方々も多くいらっしゃるんですね。また歴史的にもヨーロッパ世界とのかかわりが深く、たとえばアレキサンダー大王の時代にはその王国の広大な領土の中に組み込まれるところとなっています。(王国分裂後はセレウコス朝として存続)その7世紀にはイスラーム初の世襲王朝であるウマイヤ朝が興り、それ以来イスラーム文化圏に置かれることとなりました。15世紀以降はオスマン帝国の支配下に置かれ、独立は1918年を待つこととなります。しかしこの独立は束の間で終息を迎えます。2年後の1920年には第一次大戦でオスマン帝国がドイツ側についたことに起因してセーブル条約を以てレバノンとともにフランスの委任統治下に置かれたからです。そしてその後の独立は第二次大戦後の1946年を待つことになりました。アサドさん自体が世襲なので勘違いしている方も多いかと思うのですが、彼自身は国民による選挙で選出されているのであって一応シリアは共和制(つまり民主主義)国家なのです。(テレビではあまり報道しませんが、アサド支持派によるデモも実際には何度も行われているのです。)

・シリア大統領のバッシャール・アルアサド

しかし、なぜアメリカ政府(及びイスラエル、そしてユダヤ金融資本)の皆さんはシリアを目の敵にするのでしょう?これまで何度か言っていたようにイラク・リビアのときはそれぞれ「ドル防衛」という建前に隠された‘真意’があったワケですが、シリアにも何かあるのでしょうか?恐らく今回の目的は単純に反イスラエル(ないしシオニスト)国家である現政権を叩きのめそうということだと思います。それから去年の9.11に関する連載「完全な断絶」についてお話したのを覚えているでしょうか?これはイスラエルからパレスチナを完全に排除し、反シオニスト勢力を遠ざけて中東世界を作り替えようとせん計画なのですが、今回のこともその一環なのでしょう。先述したとおりシリアはイスラエルと国境を交えているのであり、シオニスト勢力にとっては邪魔な扱いなのです。


・シリア反乱はシオニスト陰謀 シリア人学生が告発するメディアの嘘
http://www.youtube.com/watch?v=Gu0WEN-T1Jo

まずこちらの動画をご覧下さい。これはフランスを旅行で訪れているシリア人学生がテレビのインタビューに答えているものなのですが、要約するとこういうことです。アサド大統領は国家のために働いているのであり国民の大半は現政権を支持している。今国内で武装蜂起している人たちはモサドやCIAといった‘外の勢力’に陽動されているものであって政府は正当な防衛行動を遂行しているに過ぎない,と。繰り返すようですがこれはフランスの番組です。シリアのテレビ局でもなければイランや中国、ロシアといったシリア擁護側のメディアでもないのです。しかもフランスといえば先のリビア介入においてはアメリカに次いで積極的に関わっていた国です。つまり‘あちら側’の勢力下にある国のメディアなのであり、そこが恣意的にこのようなインタビューを放送するとは考え難いものがあるのです。とはいえ連日聞こえる「虐殺」とやらは?女性や子どもまで犠牲になっているなんて話も聞きますがその辺どうなのよ?と思ってまたニュースを洗い直していると、こんなものが出てきました。

・BBC、イラク戦争の写真をシリア虐殺の写真として偽装掲載
http://www.asyura2.com/12/warb9/msg/363.html

この記事によるとイギリスの国営放送であるBBCが使用したシリアで起きた虐殺の写真というのが実はイラク戦争時のものだったというではないですか!完全なる捏造です。因みにBBCはこのことについてその後一切謝罪はしていない模様です。(それにしてもBBCって9.11のときといい今回のことといい、何かとやらかしちゃってますねw)何でしょう?メディアってどの国もこんなもんなんでしょうか...。そして注目してほしいのは次なんです。6月4日にホウラで起きた虐殺事件、少なくともこの件に関してはどうやら政府側は寧ろ被害者のようなのです。

・シリアのホウラ虐殺の犠牲者はシリア政府支持者
http://www.salem-news.com/articles/june022012/bbc-syria.php

・アサド氏、ホウラでの虐殺を非難
http://www.cnn.co.jp/world/30006837.html

一般的な日本のメディアの言い方ではまるでシリアでの虐殺=アサド政権による国民への弾圧といった風ですが、実際のところはそれさえも疑わしいのです。(CIAは1965年のインドネシア大虐殺などの前科がありますし、モサドにとっても粛清は常套手段です。)

それから今回の騒乱はやはり「宗教間対立」を少なからず内包している模様なのです。アサド氏はシリアの中でも少数派のアラウィー派に属しているワケですが、国民の大半、実に70%はスンニ派の信者なのです。要するに少数派の政権が倒れると迫害が始まるのではないか?という恐怖心が泥沼の対立を助長しているというのです。そして恐らくこの‘切り崩し’こそがシオニストの狙いなのではないか?と僕は推測します。というかこれってあの人たちがよく使う手口なんですよ。リビア然りイラク然り...。そうして内部抗争を激化させて政権を打ち倒し、その後親米・親イスラエルの政権を樹立する。それは石油の権益を搾取するという経済的要因以上に先述した「大イスラエル建国」という大いなる野望によるものが大きく、加えて言えば‘イスラエルの安定’を目指したものなのだと思われます。

勿論アサド政権が100%クリーンで何の問題もない聖人君主かといえばそれは怪しいでしょう。ただ未だ世俗化も碌に進んでいない中東諸国においてある程度の強権を維持することは無用な宗教対立を防止するための抑止力ともたり得るということだけは覚えておいてください。中東の民主化、抑圧からの解放というのは大義名分としてはよく分かります。しかしそれは軍事介入では実現し得ないものですし、そもそも介入している側は別の思惑で動いている...これでは解決なんてするはずもありません。そんなものはアフガンやイラク、リビアを見れば明らかでしょう。とにかくアメリカ主導によって行われているシリアへの軍事介入を非難する声を明らかにしたところで今日は終わりにしたいと思います。これを読んで皆さんも少し冷静に中東情勢を見て貰えれ光栄です。それでは今日はこれにて,ジベリ!

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